3月の冷たい雨とインスタントコーヒー

朝、窓の外を見ると、雨が降っていた。
3月の雨は、冬の名残を引きずっているのか、まだ冷たい。
春はもうすぐそこに来ているはずなのに、この雨のせいで気温はぐっと下がり、空気までどこか重たく感じる。

こんな日は、温かいコーヒーでも飲みたくなる。
でも、ドリップする気にはなれず、棚からインスタントコーヒーの瓶を取り出した。

カップにスプーン1杯の粉を入れて、お湯を注ぐ。
すると、ふわっと立ち上る香り。
「ああ、この感じ」
一口飲んで、ほっとする。

普段は「インスタントよりドリップの方がうまい」なんて思ってるくせに、こういう寒くて静かな朝には、このシンプルなコーヒーがやけに心に染みるんだよな。

「これでいい」じゃなく「これがいい」
インスタントコーヒーって、「手軽だから」飲むことが多い。
でも、ふと気づいた。

今日は別に「手間を省きたかった」わけじゃない。
「この味がよかった」から選んだんだ。

たまにはこういうことがある。
豪華な料理じゃなく、シンプルな卵かけご飯が食べたくなる日があるように。
高級な服じゃなく、何年も着ているパーカーが一番落ち着く日があるように。

俺たちは時々、「これでいいか」と思って選ぶものが、実は「これがいい」ものだったりする。

雨の日は、立ち止まる時間
3月の冷たい雨は、どこか物悲しい。
けれど、悪いことばかりじゃない。

こういう日は、なんとなく気持ちがスローになる。
外に出るのが億劫で、いつもよりゆっくり過ごす時間ができる。
目まぐるしく動く日常の中で、たまにはこうやって「立ち止まる時間」も必要なんじゃないか。

雨音を聞きながら、ゆっくりとコーヒーを飲む。
何かを急いでやるわけでもなく、ただその時間を味わう。

これも、なかなか悪くない。

あなたにとっての「インスタントコーヒー」は?
俺にとって、3月の冷たい雨の日のインスタントコーヒーは、ちょっとした「余白」の時間だった。
普段は意識しないものが、ふと大切に思える瞬間。

あなたにとって、そんな「何気ないけど心に染みるもの」はありますか?

もしかしたら、今すぐ目の前にあるのかもしれませんよ。

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